加藤:
トライアスロンの普及や青少年の育成を目的に「プエンテ」という団体を立ち上げました。トライアスロンがきっかけで環境問題に関心を持ち、地元の千葉県銚子市でビーチクリーン活動もしています。
中島:
「スポーツの力」で地域を元気にしていきたいという気持ちから、スポーツで人を地方に動かし元気にする「スポーツ・ツーリズム」に取り組んでいます。
藤井:
コンパクトシティ政策をベースに、SDGsという大きなフィルターを通して、市の施策を推進、実現しています。市民や企業との協働も始まっています。
新田:
地域づくりやまちづくりとスポーツには密接なかかわりがあります。まちづくりに必要なのは、いろいろな人たちが関わりを持つこと。その点いかがでしょうか。
加藤:
スポーツで地元に貢献したいと活動した結果、多くの方が参加してくれたり、企業との連携にもつながったりしています。「動かなければ変わらない」という思いが大事だと実感します。
中島:
スポーツの価値のひとつに、応援で生まれるつながりもあります。応援される側だけでなく、スポーツをする側もポジティブになり、連帯感も生まれる。関係人口の拡大にも寄与するのでは。
藤井:
プロスポーツの応援などスポーツには関係人口を呼び込む力もあり、人の交流や経済効果を生みます。施設を整え、来られた人にメリットのある政策をすることも行政の大事な仕事です。
新田:
スポーツは、関心に応じて競技を選べることも魅力です。スポーツの果たす役割や、その中での楽しさ、関わり方についてどう考えますか。
加藤:
競技という面では、勝ち負けは目標を設定する過程で大事ですが、私自身がかつてバーンアウトした経験から、体も心も健康で楽しいものでないといけないと感じます。「プエンテ」は、敷居が低く、無理しません。体を動かすことで、楽しさにつながり、健康につながる。コミュニティーの形成にも役立っていると実感しています。
中島:
携わった「高岡ねがいみち駅伝」は、市民の参加者が多く、スポーツ実施率向上と健康増進効果がありました。職場の仲間や友人で集まって出場する動きもあり、地域コミュニティーの活性化やつながりも生まれました。スポーツは、前向きになれるし、同じテーマでつながり、思い出も共有できます。
藤井:
富山市は、スポーツを通し、すべての市民が健康で豊かに暮らせる政策を進めています。高齢者のフレイル予防、つまり身体や認知機能が衰えないようにする体操を開発するなどして力を入れています。スポーツの語源は「楽しむ」。とほ活もそうですが、その人に合ったスポーツを楽しみ、健康になればいいですよね。
新田:
パネルディスカッションを振り返って、一言お願いします。
加藤:
「スポーツ×環境」や「スポーツ×地域」など、スポーツで掛け算することでたくさんのことが生まれます。イコールの部分には、SDGsがたくさん絡んできます。その可能性を信じ、地元だけでなくいろんな地域で活動したいです。
中島:
SDGsは肩肘張って考える必要はなく、僕たちが信じているスポーツの価値や世の中に前向きな影響を与える力は、推進すればSDGsの項目に合致するものが多くあります。富山にはスポーツの機会が数多くあり、身近なところから始めてみてください。
藤井:
自分が今すぐできることをやるのがSDGsでは大切です。楽しみながら実践することの積み重ねだと思っています。市民や企業の力を借りながら、一緒に考えて、無理せず楽しんで取り組みたいと思います。
新田:
さまざまな意見が出ましたが、できることをどこからかでも取り組んでみてください。皆さんと共有したいのは、「私たちは良いことにも悪いことにも微力だけれど無力ではない」ということ。少しずつの「いいこと」の積み重ねが、いい方向に変化していくのだと思います。