農作業や共同生活を通じて不登校や引きこもりの若者を支援する施設「ピースフルハウスはぐれ雲」。主宰の川又直さんが「子どもを育むのは地域」を理念とし、１９８８年に合宿型自立支援塾を開設した。現在18人が共同生活し、これまで４００人以上が暮らし巣立っていった。川又さんの取り組みは小説になり、映画｢もみの家｣のモデルとなった。

寮生は共同生活を通じ、仲間との関わりや生活スタイルを身に付ける。農作業をしながら学ぶ中で、人との距離感を理解し協働の意識を芽生えさせるなど、年月をかけて自立へのサポート力と生活環境を築いてきた。施設の近くにある直販店「ファーム・ファーム」では寮生が収穫した農産物を販売。また栽培したソバや無農薬野菜を使ったメニューを提供するレストラン「くるが」も運営する。毎週土曜には店頭で野菜市を開き、地域住民との交流を深めるなど、地域との共生を進めている。

川又さんが設立当初から取り組む「農福連携」の実績から、本年度の厚労省モデル事業に採択された「生活困窮者を対象とした合宿型就労体験プログラム」には、県内外から参加者を集めている。川又さんは「この拠点を多くの人に知ってもらうことで、富山に人を呼び込み、移住したくなる環境をつくりたい」とこれからも自立支援と地域の活性化に貢献していくという。